地域密着型金融の取組状況(平成20年4月〜21 年3月)


1.ライフサイクルに応じた取引先企業の支援強化

《取組方針》

地域金融機関としての特性を発揮し、地域情報ネットワークの活用と、継続的取引関係を通じ、取引先中小企業の創業から成長段階(ライフサイクル)に応じたきめ細かい支援を行うことで、地域の金融円滑化の役割を担っていく。

●創業、新事業への積極的な支援

  • 創業、新分野進出に対しては、地域情報ネットワーク生かし、積極的に対応しました。創業支援 2 件、60 百万円
新規参入・新分野進出資金 5 件、50 百万円

●事業及び企業の積極的な再生支援

貸出条件の変更に積極的かつ柔軟な対応

  • 中小企業金融円滑化対応として、取引先の資金繰り改善を目的として、積極的に対応いたしました。
条件変更対応先 53 件、983 百万円

鳥取県中小企業再生支援協議会の積極的な活用

  • 平成20 年度当金庫の取引先の再生支援協議会案件は3先であり、再生支援協議会からの改善計画書の提出によって、2 先条件緩和を行いました。

産、官、学、金との情報ネットワークを活用した、地域の取引企業への支援

  • 平成18 年7月に鳥取大学との間で中小企業支援にむけた業務連携協力を結び、大学、県、金融機関が会する鳥取大学産官学連携推進室連絡会に参加して企業の経営改善につながるような案件発掘に向けた、情報交換を行っています。
  • 商工会議所が中心となって運営している産・官・学・金の会「中部元気クラブ」に役員はじめ部店長が参加して、積極的に情報交換しています。

再生支援先の経営改善指導

  • 平成20 年度は経営支援先41 先を定め、うち6 先を重点先とし経営改善指導の取組を実施し、経営者とのヒアリングや、計画の進捗状況の検討を行いました。
  • 経営改善支援に税理士・鳥取県信用保証協会・他金融機関と協議し取組をしました。
  • 平成20 年12 月に信金中金総合研究所から講師の派遣を受け、経営改善支援実務研修を実施、職員35名が参加しました。
  • 職員の改善支援能力向上を目指して、経営支援に関する各種資格取得の支援を行ないました。
  • 倉吉市特別融資への積極的な対応
  • 厳しい景況下において、取引先の資金繰り改善を目的に、中小企業への金融円滑化対応として創設された倉吉市特別融資(総額200 百万円)に、積極的に対応いたしました。

倉吉市特別融資対応先 31 件、143 百万円

●取組事例

《資金繰り緩和を目的とした条件変更の実施》
取組みの動機・経緯

A社のキャッシュフローは毎期減少してきたことから、年間の返済額の負担が年々大きくなり、資金繰りが悪化してきました。そこで資金繰り改善のため年間返済額の減額をすることとなりました。

取組みの内容

当金庫が経営改善計画の骨子を作成、それを基に代表者、経理担当役員と協議しながら大幅な役員報酬の削減を含めた経費の軽減、売上減少下での経営資源の見直し等、織り込んだ経営改善計画書を策定、これによりキャッシュフローを捻出することが可能となりました。そして、その計画に基づき年間返済額を年間キャッシュフロー以下とする、取引金融機関別返済減額計画を策定しました。これにより、取引金融機関の協力を得て、計画通り、条件緩和を実施することが出来ました。

成果・効果

業況は概ね改善計画どおり進捗しており、資金繰りが改善されてきています。

評価及び課題

金融債務の増加によらない資金繰り改善が長期的に財務内容の改善につながり、今後も地域金融機関として積極的に取り組んでいく方針です。

 

2.事業価値を見極める融資手法をはじめ中小企業に適した資金供給手法の徹底

《取組方針》

定性情報を含めた地域での情報を活かし、取引先の事業価値を見極める、いわゆる「目利き力」を発揮することで、取引先中小企業に対して積極的に資金供給を行っていく。

●不動産担保、個人保証に過度に依存しない融資の推進
スコアリング商品及び売掛債権担保融資の推進とABL の検討

スコアリング商品として、鳥取県信用保証協会、県下3金庫が連携し開発した、統一商品であるビジネスプライムローンを推進しました。

平成20 年度新規取扱件数 27 件 122 百万円

また、売掛債権担保融資として、5 件、32 百万円を取り扱いました。

シンジケートローンの組成と参加

シンジケートローンの組成、参加実績はありませんでした。

目利き能力の向上

平成20 年7 月12 日、13 日に、信金中金総合研究所を講師に、渉外担当者を中心とした中小企業経営改善支援実務研修を実施しました。

●取組事例
《スコアリング商品の推進》
取組みの動機・経緯

地元中小企業に対し積極的な支援を行うため、鳥取県信用保証協会、鳥取県下3金庫が連携し、担保や保証に依存しない、信金業界の格付であるSDBのスコアリングを活用した県下統一の融資商品を開発し、金庫も取扱を開始しました。

取組みの内容

信金業界の格付であるSDBの格付を活用し、鳥取県3 金庫、鳥取県信用保証協会が提携して取り組みした統一商品です。SDBスコアリングモデルによる評価が「S7」以上の法人を対象とし、金額10 百万円以内、期間5年以内、原則担保不要、保証人原則代表者のみを要件としています。

成果・効果

平成20 年度の新規取扱件数は、27 件・122 百万円でした。比較的小規模企業の資金繰り緩和、資金支援に効果がありました。

評価及び課題

多くの地元のお客さまを対象とした商品であり、地域期密着型の融資であると考えています。地域中小企業の資金ニーズに対応するため、事業融資のコア商品として今後も推進していきます。

 

3.地域の情報集積を活用した持続可能な地域経済への貢献

《取組方針》

この地域のみが信用金庫の生きる地であり、金融の仲介は当然として、親睦、研修、情報交換、ボランティア等さまざまの面で中心的な役目を果たし、顧客・地域の活力作りに貢献することにより、地域に必要とされる金融機関でありたい。

●地域貢献に資するイベント、行事を開催と、地元行事への積極的な参加

  • 文化・芸術の発展と街の賑わい創出に向けて、地元新聞社が主催する著名人による写真、絵画等の展覧会の協賛を継続しています。平成20 年度は、4 月12 日〜 5 月11 日にかけて開催された「昭和レトロ展」に協賛し、3万人以上の方に来場いただき地域活性化への貢献を行いました。また、平成21 年のくらしんカレンダーは、「昭和レトロ展」のジオラマをモチーフとして1万4千枚を作成・配布しました。
  • 各営業店で経営者・経営者の奥様、お年寄りの会等の外郭団体がある他、本部の運営による囲碁・ゴルフの同好会等、約1,800 名の会員がおられます。それぞれ会長以下の役員により情報交換、研修会、親睦会、研修旅行等を、趣向を凝らして活発に運営実施しています。当金庫は人を充て、会員と深いパイプをつなぎながら、会員と一緒になって運営しています。

●ビジネスマッチングの推進

  • 大手ビジネスマッチィング企業の主催する、東京ビジネスサミットにお取引先企業の食料品を出展していただき、全国の参加者とのマッチィングを図り、多くの引き合いがありました。

●取組事例
《ビジネスマッチングイベントへの参加》

取組みの動機・経緯

取引先企業の販路拡大の支援強化を通じ、企業を活性化させ、ひいては地域活性化につなげていくことを目的として、ビジネスマッチングイベントである東京ビジネスサミットに参加しました。

取組みの内容
〈第22 回東京ビジネスサミット〉 全国より682 社が参加、27,250 人来場

  • 鳥取・島根県の6 信金、地銀2 行の、合わせて8 金融機関が合同で「ふるさと山陰街道」として参加。合計15 社が出展しました。
  • 今回は特に「食」の関連企業が多く参加、山陰のイメージも武器に各社が自社製品をPR し、全国への販路拡大を目的に多数の企業・バイヤーと取引交渉を行いました。
  • 当金庫からは本業が建設業で、異分野参入として平成20 年より新たに食品販売を開始した企業が参加されました。
  • 当金庫担当者も2 日間サミットに帯同し、PR 活動のサポートを行いました。

成果・効果

サミット2 日間で同社にはたくさんの引き合いがあり、そのうち20 社程度に絞込み、取引交渉を継続しておられます。同社は、本商品の全国展開を目指す中、今回は関東圏での販路拡大のために同サミットに参加され、まず、商品をたくさんの顧客・バイヤーに広く認知してもらうという目標は十二分に達成できたようです。また、同社は、本件東京ビジネスサミットへの参加をはじめ、積極的な営業活動を展開しておられ、売上も安定的に確保、さらに現在人員を増員して増産体制に入っておられます。

評価及び課題

「持続可能な地域経済への貢献」として、ビジネスマッチングイベントへの参加は、平成18年度以来3年間、継続参加しており、今後も企業・地域にとって、より実効的で成果の上がる方策を求めていきます。