地域密着型金融の取組み状況(平成24年4月~25年3月)
1.ライフサイクルに応じた取引先企業の支援強化
《取組方針》
(1)創業、新事業への積極的な支援
(2)事業及び企業の積極的な再生支援
- 農商工連携による新産業の創出からの地域活性化、を目的とする「新産業共通基盤会議」に参加するとともに、鳥取大学産学・地域連携推進会議にも1名を登録し、積極的に情報交換を行っています。
- 商工会議所が中心となって運営している産・官・学・金の会「中部元気クラブ」に当金庫役員が中心となって参加し、積極的に情報交換しています。
- 平成24年度は経営支援先30先を定め、うち6先を重点先とし経営改善指導の取組を実施し、経営者とのヒアリングや、営業店長との計画の進捗状況の検討を行いました。
期初債務者数(除く正常先) | うち経営改善支援取組み先数 | 経営改善支援取組み先の内訳 | 経営改善支援取組み率 | ランクアップ率 | 再生計画策定率 | ||
うち期末に債務者区分がランクアップした先数 | うち期末に債務者区分が変化しなかった先数 | うち再生計画を策定した先 | |||||
281 | 30 | 2 | 26 | 30 | 10.67% | 6.66% | 100% |
《取組方針》
取組みの動機・経緯
公共工事の入札資格審査(経診)の現ランク維持が危ぶまれる決算内容となっていました。収益環境の改善と同時に財務体質の改善も必要でした。長期に亘る転がし資金(手形貸付)が存在し、ランクダウンの要因が増加していました。経営者の改善意欲は強いものがありました。
取組みの内容
経営改善計画の進捗を分析した結果、再生の可能性が高いと判断し、計画の見直しを実施しました。その結果、収益力が強化されたものの、過去の不良資産及び、債務超過の解消には相当の期間を要するとみられました。そこで、実質的な会社分割を実施し、健全な資産と稼働力のある経営資源を1つの会社に集中して、その余りを別会社に移しました。当金庫の融資金もそれらに合わせて配分し、実質的なDDS形態を構築しました。地公体も対するランクの維持と同時に資金繰りも引当等が明確になりました。
成果・効果
経営体質の再構築により経営者のモチベーションも向上すると同時に事業改善が図れ資金繰りが安定しました。
評価及び課題
メイン金融機関として債務者企業の理解を得て、破綻を防止することができました。東日本大震災で大きな影響は受けていませんが、業況及び動向を注視する必要があり、引き続き改善計画の進捗状況を把握し、経営指導をして参ります。
2.事業価値を見極める融資手法をはじめ中小企業に適した資金供給手法の徹底
《不動産担保、個人保証に過度に依存しない融資の推進》
- スコアリング商品として、鳥取県信用保証協会、県下3金庫が連携し開発した、統一商品であるビジネスプライムローンを推進しました。
- また、売掛債権担保融資として、4件・32百万円を取り扱いました。
- シンジケートローンの組成、参加実績はありませんでした。
- 平成24年8月10日、融資レベルアップ研修として、講師に信用保証協会支所長を招き、保証協会との連
携強化を目的とした研修を、各部店融資担当者18名を対象に実施しました。 - 平成24年10月18日、融資レベルアップ研修として、「経営計画策定支援」として12名を対象に実施しま
した。 - 平成24年4月14日を第1回とし平成25年3月まで計5回にわたり融資レベルアップ研修として、財務2
級テキストを活用した研修を延べ42名を対象に実施しました。
《取組事例》
《スコアリング商品及び売掛債権担保融資の推進とABLの検討》
取組みの動機・経緯
鳥取県信用保証協会、鳥取県下3金庫が連携し、担保や保証に依存しない、信金業界の格付であるSDBのスコアリングを活用した県下統一の融資商品であるビジネスプライムローンを推進しました。 また、売掛債権担保融資に取り組みました。
取組みの内容
ビジネスプライムローンは、信金業界の格付であるSDBの格付を活用し、鳥取県信用保証協会、鳥取県下3金庫が連携して取組みしている統一商品です。
SDBスコアリングモデルによる評価が「S7」以上の法人を対象とし、金額10百万円以内、期間10年
以内、原則担保不要、保証人原則代表者のみを要件としています。
成果・効果
SDBスコアリング格付を活用することで、簡便、迅速に融資対応が受けられます。実績としましては、次のとおりとなりました。
(1)ビジネスプライムローン 平成24年度新規取扱件数2件、金額10百万円の実行
平成25年3月末現在取扱高、件数16件、残高25百万円
(2)売掛債権担保 平成24年度新規取扱件数4件、金額32百万円の実行
平成25年3月末現在取扱高、件数4件、残高32百万円
評価及び課題
本年度は県の制度資金の活用が多く、取り扱いは少ないものの、対象は、小規模零細企業の割合が高く、金額も5,000千円程度の先が大半であり、小規模零細企業の資金ニーズに対応した地域密着型の融資であると考えています。
新規先の開拓や既存取引先の取引深耕にも活用でき、地域小規模零細企業に資金ニーズに対応するためにも積極的に推進して参ります。
3.地域の情報集積を活用した持続可能な地域経済への貢献
《取組方針》
(1)地域貢献に資するイベント、行事の開催と、地元行事への積極的な参加
- 文化・芸術の発展と街の賑わい創出に向けて、地元新聞社が主催する著名人による写真、絵画等の展覧会の協賛を継続するほか、以下の活動を行いました。
- 平成24年度は4・7・10・1月の4回「くらしん囲碁好友会大会」を開催し、地域の子供から高齢者まで毎回100人以上のファンに参加頂きました。特に、平成25年1月開催の新春大会では、プロ棋士2名を招聘して開催し120名を超える参加者で賑わいました。囲碁大会は毎回地元出身のプロ棋士の指導碁等もあり、新規の参加者は増加しており、地域の囲碁の活性化に貢献しています。
- 平成24年8月に開催の倉吉打吹まつりには、みつぼし踊りに約40名の職員が参加し、地域の人々と交流を行いました。
- 平成24年10月、300人の参加者を得て第15回「くらしん健康ウォーク」を開催しました。
- 平成24年12月、当金庫の若手職員で組織する「くらしんヤングコア」が福祉施設の清掃活動および街頭歳末助け合い募金を実施し、集まった募金を地域の社会福祉協議会に寄付しました。
- 平成24年12月、地元の福祉施設2先に対して、恒例の新米を寄贈しました。
地域の活性化や貢献活動等一連の活動は、地元に本店を置く金融機関として地域住民からの期待も大きく、その効果も大きいものです。今後も継続して、最大限の取り組みをしていきたいと考えています。
地域経済の活性化を図る為、倉吉信用金庫では「地賛地商」をスローガンにしたPRポスターを平成22年度に作成・配布しましたが、24年度に入ってからも一部の商店等からの貼付希望があり、外郭団体の講演会において参加者へ配布するなど、ポスターの活用を継続いたしました。
今後とも地元金融機関として、地元経済の活性化を図るため、「地賛地商」運動を積極的に推進していき
ます。
(3)ビジネスマッチングの推進
- 山陰地区の信用金庫が合同で、地元中小企業の販路拡大のためビジネスフェアを開催し、ビジネスマッチングの機会を提供しており、出展者からは高い評価を頂いております。
また、地元開催のビジネスイベントだけでなく、他地区のイベントへの参加も積極的に取り組んでおります。
《取組事例》
《地元中小企業に対する販路拡大の場を提供》
取組みの動機・経過
「地賛地商」を推進するとともに、地元中小企業に対する販路拡大につながる商談の機会を提供いたしました。
取組みの内容
摂津水都信用金庫主催の「うまいもん市in 万博」に2事業先が参加し、また、おかやま信用金庫が中心に開催されている「岡山しんきんビジネス交流会」へも、山陽方面への展開を考えている先より2事業先が参加しました。現在、第3回となる山陰しんきんビジネスフェアを平成25年11月に米子で開催予定であり、その準備を進めております。
また、中国地区しんきんビジネスマッチングサービスへの登録により、情報還元等に、より一層の幅が出
来ました。
成果・効果
地元中小企業において、なかなか地域外の情報は乏しくリスクも絡むので手が出しにくい状況でありますが、当金庫が仲介として対応する事により、事業拡大への手助けに貢献できました。
預金・融資など金融の場面での関係のほか、具体的な事業場面に関係する事により、信用金庫の中小企業支援のスタンスの理解が深まり、取引先との絆が強化され、また当金庫との取引関係も強いものとなりました。